こんにちは!加藤です。
みなさんの職場や身の回りでは、断食の準備は進んでいますか?
今回はインドネシアにおける
- 断食月って何?
- 断食時は僕らもご飯食べられないの?
- 断食とイベントとお金の意外な関係とは?
- スタッフへの気遣い
- 断食を実際に試してみた
をご紹介。ちょっと長いですが、インドネシアを知るためには必須のトピックです!お付き合いください。
断食月って何?
そもそも断食月とは何なのかご説明しますと、イスラム教の行事の一つで、イスラム暦で年に1回、1ヶ月間の断食をしなければならない期間です。はい、そのまんまですね。笑
そんなイスラム教の断食ですが、インドネシアの人口は90%以上がムスリムと言われているため、町全体が断食モードになるんです。
もう少し詳しく説明しますと、この断食はインドネシアにおいてはラマダン(もしくはプアサ)、英語だとFasting(ファスティング)と呼ばれ、1ヶ月間食べ物はもちろん飲み物も禁止されています。
とはいえ、本当に1ヶ月間飲まず食わずでいたら町がバ〇オハザード状態になってしまいますよね。笑
実は、食べてもいい時間帯など断食にもちゃんとルールがあるんです。
まず、1日の中で、日の出から日の入りまでの時間は飲食を禁止されています。
逆に言えば、日の入りから日の出前までであれば、飲み食いはしてもいいわけです。そのため、日の出前に大量に食べて、日の入りまで耐える生活が1か月続くということです。
やってみるとわかるのですが、断食は結構キツいんです。特に気温が常時30度超えのインドネシアでは体力を奪われます。
そのため、子供、高齢者、ケガや病気中の人、妊婦、生理中の女性などはラマダンを免除されています。その人たちは次のラマダンまでに後日振替で断食を行えば問題ないとされています。
最近では『ファスティング』が日本でもブームだとかそうでないとか。健康のために始める人も多いかと思いますが、イスラム教の人たちはもっと昔からこれを続けてきたんですね。
ちなみに日本に住むインドネシア人でも断食をする人がいるので、飲食を強制させるのは厳禁です。
旅行者でもこれからさらに増えていくであろうムスリム対策でハラル承認のレストランがちょこちょこ増えていく中、そういった断食についてを知らない方が圧倒的に多いので、ムスリム対応を進めていくのであれば、今後はそういったサブ知識を増やしておくといいですね。
断食時は僕らもご飯食べられないの?
ラマダン中、断食をしない僕らはどうするのかについてです。
まず飲食店に関してはラマダン中で儲からないから閉まっている、もしくは我慢している人たちを刺激しないようカーテンを閉めたり幕で覆って営業をしています。
まるでお昼を買いに行く僕が悪者にでもなったような感覚です。(今のオフィスビルは外国人が多いので罪悪感などこれっぽちもありませんが。笑)
また、この断食は ”ただ苦しいことをやろう!” ではなくて、
- 自己鍛錬
- 欲を抑えて悪い考えを無くす
- 思いやりの精神を持つ
- 貧しい人々の気持ちを知る
といった目的でやっている断食のため、飲食禁止のほかにも細かく規制されています。
➤タバコ
まずタバコを吸ってはいけないとされています。
インドネシアは東南アジアでもトップクラスなタバコ大国で、タバコを吸わない男は漢じゃない!なんて言われるくらい男性の喫煙率は高いです。笑
しかしこのラマダン期間中はそれが一気に減ります。ラマダンをしない人もいるので全員ではありませんが、それでも喫煙所はガラガラ、歩きタバコもいない、トイレに捨ててあるタバコの吸い殻も激減(笑)等々明らかに変わります。
➤街から『あの音』が消える
また面白いことにクラクションの騒音が激減します。
インドネシアを含む ”東南アジアあるある" なのですが、道路の作りも運転マナーもメチャクチャなため、渋滞とクラクションの轟音がすごいのです。笑
しかしラマダン期間は、怒りなどの "感情を高ぶらせること" を禁止されていることから、クラクションの音もいつもより少なく感じます。
ただし彼らは食べない飲まないのイライラでみんなピリピリしているのでむやみに煽ったり、こちらからクラクションを鳴らしまくるのはトラブルのもとになるのでやめましょう。
上にあげたものの他にも、飲酒(もともとダメだけど、酒はOKって決めてる人も多いため)、性行為、その他諸々の欲求を満たす行動などを禁止しており、厳しい人だとノドを潤すためにツバを飲み込むことすら禁止しているそうです。
この禁止事項について話すと話題になるのが、「誰も見てないところでは我慢してないんじゃないの~?」という疑りの声。しかし彼らの答えはだいたい「No」です。
なぜなら、これは自分自身と神さまとの約束だそうで、誰が見ているとかは関係ないのだそうです。
それだけの強い精神力があるのであれば、ぜひそれを他のことにも活かしていただきたいですね!笑
断食とイベントとお金の関係
インドネシアにおいて、ラマダンは辛い期間でもあると同時に希望への準備期間でもあります。ラマダンが終わると彼らは長期休暇とお金がいっぱいもらえるのです。
まず長期休暇なのですが、インドネシアではラマダンが終わるとレバラン(ラマダン明けの大祭)というものがあります。これは日本で言うお盆のようなもので、1週間程度の長期休暇をもらえるのです。
そしてこのレバラン期間になるとジャカルタにいる人たちが一斉に故郷に帰るため町が死んだように静かになります。
またその故郷に帰る際にはお菓子や洋服などのお土産を買っていくため、ラマダン中からレバラン商戦が始まっています。中間層向け小売りは今が勝負時のようです。
そしてお金がもらえるということですが、これは国の法律で、レバランの際に必ず給料1ケ月分以上のボーナス(THRと呼ばれます)を支給しなければならないという決まりがあるためです。
そのため、THRをもらってから転職をする人が大半で、今の時期から仕事を探しておいて、レバラン後に転職をするというのが毎年の流れになっています。
ちなみに以前にも書きましたが、断食の間やレバラン前に近づくにつれて、空港、警察、イミグレなど国家権力を行使できる人達は強気になり、いちゃもんを付けてワイロを請求してくるようになります。
できるだけ疑われてお金を強請られることのないよう、気を付けましょう。
スタッフへの気遣い
うちのスタッフも多分に漏れず断食をする人がいます。しかし僕らはムスリムではありません。そういった場合には対処どうすべきなのでしょうか?
僕は『気遣いもほどほどに』だと思っています。中にはスタッフのいるときには飲食はしないと決めている方もいますが、僕の場合は作業効率を落とさないためにもご飯を食べ水を飲まなければなりません。
ただしスタッフの前であ~美味しい!なんて水をがぶ飲みしたり、これ見よがしに食べるのも失礼に当たります。というかわざわざイライラさせてスタッフの作業効率落とすのもアホな話ですしね。笑
事前に一言断りを入れておく、またちょっと見えないところへ行って食べるなどの配慮をしてあげるとスタッフも悪い気はしないかと思います。どこまで行っても人間同士なので円滑なコミュニケーションが必要ですね。
また、出社&退社時間もスタッフに合わせることが多いです。
うちの会社を例えに出しますと、普段は8時出社~1時間休憩~17時退社です。
しかしレバラン中は7時半出社~30分休憩(ご飯を食べないので)~16時退社になります。
企業によって取り決めはさまざまなので、各自チェックしましょう。
断食を実際に試してみた
インドネシアに来たばかりの話ですが、僕も3日間だけ断食に挑戦してみました。要は1ヶ月なんて無理だったってことなんですがね。笑
その時のメモが見つかったので、1日の変化を簡単にご紹介します。
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3:00 モスクの大音量で「起きろ~朝飯食え~」と起こされる
4:00 朝飯を食べ終えて2度寝をする
8:00 2度目の起床
8:30 行動開始
10:00 この時点で空腹を感じ始める
11:00 飲み物が飲まないため、のどが渇き、頭痛がし始める
12:00 空腹に耐えきれなくなりそう。
13:00 涼しいところで静かにしていたら頭痛も治ってきた。
14:00 2度目の空腹の波が来る。それも最大級の。笑
15:00 空腹にだんだん慣れてきた。意外といけるかも?
17:00 感情がだんだん穏やかになる気がする。座禅みたいな感覚。
17:45 モスクからお祈りの放送。ラマダン明け。
18:00 水美味い!食べ物美味い!最高!!!
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以上、僕のメモを書き起こしました。僕が普段いかに欲にまみれているかがお分かりいただけましたでしょうか。笑
飲まず食わずに慣れてない僕は、結果的に1時間足らずしか穏やかな心を手に入れることはできませんでした。修行不足です。笑
実際にラマダンを体験してみると改めて思うことが、気候の厳しさです。
常に気温30度以上のジャカルタでは水分を取らないで外を出歩くのは体力的にも厳しいものがあります。
それを考えると、外で1日を過ごす大工や工事現場の人たちはすごいですね。
また空腹もある程度を超えると体が順応するようです。
ただしいきなりご飯を食べるのは厳禁。体調不良のきっかけになります。断食明けにはシロップで作ったジュースなどで一度体を慣らしてから夕飯を食べるのがインドネシア流。ここにも生活の知恵が入っているんですね。
ちなみに在インドネシア日本大使館からも以下のような通達があるのでチェックしてください。
※昨年のバージョンなので、時期などにズレがあります。ご注意ください。
未だにラマダン開始日が確定していない件
インドネシアでは2018年は5月15日 "ぐらい" からラマダンがスタートします。
"ぐらい" と書いたのは、今年のラマダンのスタート日がまだ決まってないからなんです。(これを書いている時点の2018年5月8日で未定です。笑)
うちのムスリムのスタッフに確認したところ、スタートには月の位置関係が重要らしく、"その条件を満たすのが15日か16日になるだろう" というところまではわかっているが、まだ確定をしていないとのことです。
事前に予定を立てるのが当たり前な日本人からすると理解に苦しむかもしれませんが、これがイスラム式。従うしかありません。
ただそのせいで社会全体が左右されるので、せめて年始には確定させて頂きたいところですね。笑
最後までご覧いただき感謝です!皆さんもジャカルタに来る際にはぜひ一度レバランを体験してみてはいかがでしょうか?
面白かったり、ためになった方はこの内容を必要としている友達にシェアしてあげて下さい。
Sampai jumpa! サンパイジュンパ!(ではまた!)
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