2015年、インドネシアは世界一の渋滞国になりました。なんて輝かしい!!!笑
ジャカルタの人の間では『インドネシアは人口多いから車も多い』と言われています。確かに車の台数は多いですが、それだけではこの渋滞にはならないんじゃないでしょうか。
今回は日本とインドネシアで比較してその真相を暴きたいと思います。インドネシアと日本の比較
さらにお互いに首都であり、一番人口が集まり、車の数も多いであろうこの都市で比較をしてみます。(元データは2014年度のものです)
国土
ジャカルタ:664平方キロ
東京23区 :621平方キロ
若干インドネシアの方が大きいくらいですね。
人口
ジャカルタ :10,075,300人
東京都23区: 9,157,590人
人口大国として知られるインドネシア。
首都のジャカルタは東京都のとそう変わらない人口です。
車の所有台数
ジャカルタ: 4,399,595台
東京都23区: 2,092,972台
これを見るとジャカルタは東京の倍以上車があるようです。2014年のデータとはいえ、その前年度がインドネシアにおける車の生産台数、販売台数がトップの年なので、(インドネシアの自動車業界事情は以前の記事→コチラをご参考ください。)このデータからもジャカルタは東京よりも車が溢れていることは間違いありません。
渋滞の原因が車の台数であることは間違いではないのですが、車を減らせば渋滞しないかというとそうではありません。ジャカルタの渋滞はなぜこんなにも慢性化しているのでしょうか?
渋滞の原因を考える
1) バイクの台数世界一
バイクは車と違い、道路を縦横無尽に走ることができます。しかもインドネシアはバイクの所有数が世界一だそうです。そりゃ渋滞も起こります。日本ではありえないことですが、インドネシアのバイクは自分の行き先の道が混んでいると反対車線に入って逆走を始めます。それが当たり前に起こるので反対車線もゆっくり走らざる得ないため渋滞します。
そして挙句の果てに事故を起こします。普通に走っている人からしたら、ただのとばっちりです。
彼らは人を乗せるためなら5分でも30分でも平気で道路上で待ちます。満員にならないと出発しないバスも多いです。そして彼らはどこでも人を降ろすため、客が止まれと言えば真後ろに車がいようがお構いなしに急停車です。そしてそこに客が来るまで居座る・・・その繰り返しです。まさに下の写真のような感じです。
こうして車線を一つ無駄にするため、みんなが避けはじめ渋滞が完成されます。これが車の集まりやすい駅前やモールの前で起こるんです。
どれだけひどいかお分かりいただけますでしょうか?
日本ではマナーがルールが徹底されていますが、インドネシアでは運転している側の交通マナーがなっていません。免許を持たずに運転をする人がザラにいます。もし免許を持たずに運転していれば日本では国への罰金、若しくは懲役がありますが、インドネシアでは警官に賄賂として1000~5000円程度を渡せばなかったことになります。笑い話の様ですが本当です。(僕が遭遇した賄賂の瞬間の記事は→コチラ)
試験を受けず、実習もなく買えてしまいますし、それが常態化しているので、免許が免許の意味を成していないのです。そんな人たちがマナーやルールを教わらず感覚だけで運転したら・・・
無理やりな車線変更、逆走、急停車、クラクションの乱用、危険な割り込み等々。想像するだけで渋滞と事故という文字がくっきり浮かんできます。今まで3つ書きましたが、何だかんだ言って一番の問題は道路の作りの悪さと少なさだと思います。
ここジャカルタでは5車線がいきなり2車線になることも当たり前です。しかも合流のための白線や標識など一切ありません。まずはここで渋滞します。
そしてUターンの道が驚くほど少ないです。1つ道を間違えるとUターンできるまで
ず~~~~~~~~~~っと先まで連れていかれます。それを前提にイメージしてみてください。
やっと見つけたUターン場所。これを逃すとさらに先まで連れていかれる!ここで戻るしかない!Uターンしよう!
みんながこれを考えたらどうなりますか?そう、集中からの渋滞ですね。笑
踏切とその前にある十字路の信号も連動していないため、踏切が開いているのにもかかわらず誰も通れないこともあります。そして信号が青になったと思ったら踏切が閉まる・・・最悪です。笑
渋滞緩和の解決策
さて、渋滞の原因がいくつか挙げられたのでそれを解決させればいいのでしょう。
1) バイクを減らす
方法はいくつかあります。例えばバイク通行禁止の場所を増やす。
これは正直得策ではありません。直接的すぎるのでバイク業界からのバッシングがひどいことになりそうです。
ではバイクのいらない環境を作るのはどうでしょうか。例えば公共交通機関の施策としてMRT(地下鉄)を建設中です。これが完成すれば多少はバイク(車も)が減るのではと考えられています。
例えば企業はMRTの料金は負担するが、バイク等の通勤は自費等はどうでしょうか。それであればMRTを使い、バイク通勤者は減るかもしれません。
引用: https://benhan8.wordpress.com/tag/mrt-jakarta/より[/caption]
また、実はインドネシアには車検制度がまだありません。ちょうど今年から車検制度を始めると運輸省の方で声を上げ始めました(実際に始められるか正直疑問ですが・・・)。もしこれができれば、車両耐久年数で規制をかけ、一定の年数を経過した車、バイクには追加で課税があるようにするれば手放す人も増えるかもしれません。
ジャカルタのバスにはバス停が存在しません。どこでも乗れるしどこでも降りられる。そのシステムがまかり通っている以上渋滞解消も難しいでしょう。
そのため、まずはバス停を設置し、そこ以外での乗降はやめさせる。(正直これが一番できない気がします。何かしらの方法で彼らは客引きを始めますから。笑)
そして、出来高制から時給や月給制に変える。
現在のバスは乗せたら乗せた分だけ給料がもらえるシステムです。しかしこれがきっかけで狭い道にも待機の列ができる原因なので、国有化ないし企業が月給制で雇用というのが良いのではないでしょうか。
3) 道路マナーの改善
この改善には民官一体となる必要があります。ここはもはや理想論の域ですが、まずは警官汚職がなくならなければいけません。それがあるからなんでもOKになってしまいます。無免許がまかり通らないようにしましょう。
そして免許を日本並みとは言いませんがちゃんとテストを受けさせて合格させること。正しい知識が当たり前になることが必要です。
こういったことは直接の渋滞解消には繋がりませんが、長い目で見て必要なことではないでしょうか。信号システム、踏切システム、道路の作り、高速道路システム、すべてにおいて未発達(どちらかというと国が想定していたレベルの斜め上を行く交通量の増加でキャパシティを超えてしまった。といった方が合っていそうですが)なのでそれを作り変える必要があります。
そこには日本のような交通量が多いのに渋滞が少ない国のシステムを持ってくるのが一番早いと思っています。もちろん予算等はかかるのでしょうが、それによる海外投資の好循環の方が長い目で見ればよっぽどいい結果を生むのではないでしょうか。
事実、インドネシアの現大統領、ジョコウィドドはインドネシア全土に2000kmの道路を増やすと公約に掲げていました。
まだ就任して3年弱なので変化は少しですが、こうした取り組みが必要ですね。いかがでしたでしょうか?
インドネシアにはこうした『パッと見ではわからないけど変わったら劇的なもの』への投資理解がまだまだ足りません。
またそれを可能にする力が日本企業にはあると思っています。この国をより良くするべく、これからも日系企業にはどんどん進出して頂きたいですね。
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